mayu うみのいきものさんの「酒場にて」の歌詞に "重い機材を背負って 潜って許されるのは50分" という部分があります。
ふと、この歌詞の潜水プロフィールはどんな感じだろう?と思ったので、いろいろ数字に仮定の数字を割り当ててアベレージの水深を出してみました。← 暇人
あくまで仮ですよ?なにせ 50 分という数字以外は歌詞に出てこないので、残りの数字は、ありがちな数字にしました。数字は以下を前提にしました。
計算式はオープンウォータのマニュアルにあるように以下のとおりです。
上の式から平均水深を求めると、以下のような感じに (めんどうだったので計算にはスプレッドシートを使いました)。
計算結果をぱっと見た第一印象。平均水深が深めな割に、ちょっと潜水時間長くない?エアは保つとして、潜水中にダイコンにシーリング出なかった?
仮にの条件を追加してダイブテーブルでどうなのか、NAUI のダイブテーブルを引いてみる。
ツアー初日の 1 本目のダイビングで、体内に残留窒素がないものとする。またダイブテーブルでは箱型潜水を前提とし、最大水深がデータとして必要なるが、ダイコン使用のマルチレベルダイビングを前提とするので、平均水深を最大水深とする箱型潜水と仮定する (本当はこんな仮定は雑すぎて駄目だけど)。
仮定する最大水深が -16.8m なので、ダイブテーブルでは -18m で引くことになる。50 分……
MDT いっぱいいっぱいやん。やっぱりどこかの水深でダイコンがシーリング出してそう。つまり減圧停止指示。体、大丈夫なのかな?
特に女性は男性と比較して血管が少ない脂肪組織の比率が多くなります。つまり減圧理論で言う「遅い組織」の比率が男性より多くなります。男性より女性の方が減圧症に注意と言われる所以なんですけど、やはり減圧不要限界ギリギリを女性が (男性もだけど) 攻めるのはお勧めできないということになります。
DAN による分析によると、ダイコンの登場以来、減圧症の症例が目に見えて増えてるそうなんですけど (他にも高圧生理学関係のエビデンスが山のようにある)、けっきょくみんなダイコンを使って、減圧不要限界ギリギリまで潜り過ぎ、ってことになります。
本来ダイコンは減圧症を予防するために水深と潜水時間を管理するためのツールだったはずなのですけど、多くのダイバーが長く深く潜るってために、つまり本来の減圧症を予防するという目的とは異なる目的外利用をしてる、ってことになります。
わたし自身を含め、わたしたちダイバーは、ダイコンでシーリングがでてないから大丈夫って考えになりがちですが、そうじゃなくて、ダイコンでシーリングがでたら、かなり今の自分はヤバいっていうように考え方を変えないといけない。
つまりどの水深であってもシーリングを出してしまうということは、自分は減圧症リスクの非常に高い、かなり危険なダイビングをしている、と自覚しないといけない、ということになります。
でも平均水深 -16.8m で 50 分のダイビングって、普通考えにくいので、前提とする終了時の残圧をちょっと変えてみることにします。これくらいしか変更可能な数字がないので。
これなら下のような現実的な数字になります。
これなら串本だとグラスワールドや住崎、アンドの鼻、備前、イスズミ礁、中黒礁などの浅めのダイビングポイントにマッチします。50 分の bottom time もありえます。とっても現実的。
次のチャプターでは、実際に最初に試算した深めの平均水深 -16.8m 周辺のダイビングを自分のログブックから拾ってみて、どんなダイビングスポットが想定できるか眺めてみました。
興味がない人は所感まで飛ばしてください。
自分の残っているログブックをパラパラめくって、平均水深が -16.8m 前後のプロフィールで潜ってるポイントをリストしてみると。
求めた平均水深 -16.8m と比較して深すぎるか。
MSD トレーニング兼 ITC 準備
ポイント名のササの根は、ポイント新規開発時の仮名。現在のポイント名はおそらく双島1の根。恐らく師匠がやっぱり開発した開発時仮名のパラダイス・ポイントが双島2の根。
ササの根でアベレージ -19.0m って何してたんだろ?しかも 30 分も。
このときの 1 本前が下浅地で max: -47.6m, ave: -23.4m, bottom time: 29min。目的が -30m からの溺者引き上げで自分は溺者役。一緒に ITC を受けて仲良く落ちた女性が……あれは事故ギリギリのトラブルと言っていいと思う。
以下、かなり危ないトラブル書いてるので、一般のダイバーの方には読むことをお勧めできません。リーダーシップ以上の方や、リーダーシップを目指している方で、もし読む場合はここをクリックしてください。
溺者役のわたしの引き上げ中に、水深 -5m あたりから彼女は浮上できなくなって、溺れそうになって、表情もやばくなったので、彼女へのメジャーレスキューに移る。
水面で肺が痛いと言われたときは血の気が引いた。ボートにあがれと指示したけど無視された。こんなときに根性見せるなとさすがに思った。死んだらどうするのさ。
なおわたしは師匠を溺者役にして、やっぱり -30m から水面までの引き上げを行ったけど (どのダイビングポイントでやったかは失念)、特別な困難さを感じずに終えてしまったので、彼女がトラブルを起こすまで、この訓練のやばさに気づいてなかった。
このササの根でも -30m からの溺者引き上げのトレーニングは行われた。彼女が下浅地でクリアできなかったから。まじで?まだやるの?彼女死ぬんじゃないか?ってマジ怖かった。
この日以降、こういった無茶とも思えるトレーニングが行われたどうかというと、たぶん行われなくなった。危なすぎるということで。流石にその夜、師匠にこれは危なすぎますって言った覚えがある。
これが自分の初ヒヤリハット体験。
ITC でもせいぜい水深 -3 〜 -5m からの溺者引き上げと人工呼吸をしながらの曳航だし。通常 -30m からの引き上げは溺者引き上げじゃなくて遺体引き上げだわ。海上保安庁の仕事。
いやまぁ、目の前に沈んでたら生きてる前提で引き上げるけど。
閉じるゲストのヒヤリハットがあって、サポートに当たっていた自分だけ、やたらと浅いガンガンに流れてた水深で長時間過ごしてた。なので平均水深は浅め。
なんだ?このデータ?
なお別ページに書いた自分が当事者になってしまったプチパニック事件のとき。筆記してるデータまでおかしい。よっぽど動揺してたんだなと思う。
ネジリンボウリサーチダイブ。この日は 3 人がかりで発見できず。
以下、ちょと長めの思い出話になっちゃうので。もし読む場合はここをクリックしてください。
1 本前の同じ日の備前から、ファンダイブだったはずだけど、なんか潜っているうちにネジリンボウ場所確定調査モードに。つまり 1 本前同様下に張り付いてた。そのため max のわりに ave が深め。
エキジット後、インストラクターの若い子たちと一緒に、店で使う用のマップ書いてた。あれ?今日、おれ、遊びに来てるはずでは?とか思いながら。
でも師匠、ああいう風に、スタッフのインストラクターの若者に紹介するのはやみてください。いろいろハードルが上がっちゃうので。こっちはまだアシスタント・インストラクターなのに (当時)。
それとスタッフへの説教のダシに使わないで。遊びに行けなくなるから。
説教されてたその男の子、お店やめちゃって、よそに移っちゃったって聞いて、やっぱりインストラクターである自分とアシスタント・インストラクターのぼくと比較されて、お前は駄目だ!!と怒鳴られて、さすがに嫌気がさしちゃったんだと思う。
だってその子、ずっとぼくと一緒だった師匠と違って、ぼくが何を目指して、何にどう取り組んできたかなんて、ぜんぜん知らないんだし。
それに、やっぱりダイビングのリーダーシップの世界では、表向きはそうだって誰も言わないし、否定すらするけど、ヒエラルキー的なものは、やっぱりあるんですよ。
インストラクター > ダイブマスター > アシスタント・インストラクターって構図は、やっぱり昔から崩れないのです。
けっきょく、人事関係に影響があるようなできごとに、ぼくがビビって、実際にもう師匠のお店に気軽に遊びに行けなくなってしまったのでした。
閉じる自分のログブックをひっくり返してみると、50 分というけっこう長い潜水時間で潜ってるダイビングポイントいうと、ホームの串本だと、やはり住崎、グラスワールド、イスズミ礁、備前、中黒礁、アンドの鼻等の浅いダイビングポイントばかり。やっぱり水深がある外洋ポイントでは、ぼくの場合はもともとエアが保たないのですね。
今回の試算で、女性ってこんなにエアが保つんだ、保ってたんだ、ってちょっと驚いています。だってエア切れしないか、しか心配してなかったので。